黒ボク土

黒ボク土は、主として母材が火山灰に由来し、リン酸吸収係数が高く、容積重が小さく、軽しょうな土壌である。有機物が集積して黒い色をしていることが多く、黒くてホクホクしていることから黒ボク土と呼ばれる。

厚層多腐植質黒ボク土 栃木県 今市市大室
写真 男体山

黒ボク土は、保水性や透水性が良く、ち密度(土の硬さ)が低く、耕起が容易であることから他の土壌に比べて物理性は良好である。土壌の化学性に関しては、概して、活性アルミニウムを多量に含むことから土壌の有機物含量は高くなるものの、植物養分として重要なリン酸の吸着力も高い傾向にある。

黒ボク土は、主に北海道南部、東北北部、関東、九州に分布しており、活火山や2~3万年程度前まで活発な活動をしていた火山の分布状況を反映している。

図 黒ボク土の分布状況(赤色)

黒ボク土の分布する面積は国土の31%程度であり、農耕地では畑(普通畑、牧草地、樹園地)として広く利用されている。わが国の畑の約47%は黒ボク土が分布している。しかし、世界的には黒ボク土は稀少であり、その分布は全陸域の1%未満にすぎない。

黒ボク土群の分類

黒ボク土は土壌の発達程度、土壌の生成環境(水分、母材等)の違いから、以下の6つの土壌群に分けられる。

土壌として未発達な未熟黒ボク土(D1)、過湿なグライ黒ボク土(D2)および多湿黒ボク土(D3)、有機物を多く含むが黒くない褐色黒ボク土(D4)、結晶性粘土を含む非アロフェン質黒ボク土(D5)、非晶質粘土鉱物(アロフェン)主体のアロフェン質黒ボク土(D6)