非アロフェン質黒ボク土
容積重が小さく、リン酸吸収係数も高い「黒ボク特徴」を示すが、主要粘土鉱物は結晶性の2:1型鉱物である。土壌中からカルシウムやマグネシウムなどの塩基が溶脱すると、2:1型粘土鉱物に吸着される交換性Al が多量に存在するようになり、強酸性を示す。
容積重が小さく、リン酸吸収係数も高い「黒ボク特徴」を示すが、主要粘土鉱物は結晶性の2:1型鉱物である。土壌中からカルシウムやマグネシウムなどの塩基が溶脱すると、2:1型粘土鉱物に吸着される交換性Al が多量に存在するようになり、強酸性を示す。
一般的に火山灰から生成される粘土鉱物はアロフェンやイモゴライト等の非晶質鉱物が多い。しかし、大陸からの風成塵や火山灰以外の母材の再堆積などの影響により、結晶性の2:1型粘土鉱物が多くなる黒ボク土を非アロフェン質黒ボク土と分類する。
非アロフェン質黒ボク土の分布する面積は国土の7%程度であり、主に北海道北部から中部、東北、北陸、近畿および中国地方の日本海側、四国に比較的広く分布している。農耕地では畑(普通畑、樹園地、牧草地)として広く利用されている。畑利用の際には、多量の施肥による土壌の酸性化に特に注意が必要となる。
非アロフェン質黒ボク土は土壌の水分環境や火山灰の堆積環境の違いから、以下の4つの土壌亜群に分けられる。
(1)水田化非アロフェン質黒ボク土(D5c1):水田利用による湛水期間中に代かき層から還元溶脱した鉄が下部の酸化的な層で酸化沈殿して形成された「水田鉄集積層」をもつ非アロフェン質黒ボク土。
(2)厚層非アロフェン質黒ボク土(D5h1):表層に有機物を多く含み、かつ、層の厚さが50㎝を超える「腐植質表層」または「多腐植質表層」をもつ非アロフェン質黒ボク土。
(3)埋没腐植質非アロフェン質黒ボク土(D5h4):過去に表層であった層で、かつ、有機物が蓄積した「埋没腐植層」の上端が土壌表面から50cm以内に現れる非アロフェン質黒ボク土。
(4)普通非アロフェン質黒ボク土(D5Z1):その他の非アロフェン質黒ボク土。