未熟黒ボク土

堆積した火山放出物が、ある程度の土壌化作用を受け、リン酸を固定する性質や有機物の集積(全炭素で3%以上)を示しはじめた段階の土壌である。

腐植質未熟黒ボク土 北海道別海町 雌阿寒岳、カムイヌプリ岳、摩周火山の噴出物が積層している。下層に見られる黒色の腐植層(埋没腐植層)は過去に地表であった層。
普通未熟黒ボク土 神奈川県平塚市 富士山の宝永噴火(1707年)での黒色の噴出物が含まれる層(表層下80cmまで)が認められる。
図 未熟黒ボク土の分布状況

未熟黒ボク土は、主に北海道南部、東北北部、関東西部、九州南部に位置する活火山周辺に広く分布している。

未熟黒ボク土の分布する面積は国土の3%程度であり、農耕地では畑(普通畑、牧草地、樹園地)として広く利用されている。わが国の畑の約6%は未熟黒ボク土が分布している。

未熟黒ボク土群の分類

未熟黒ボク土は土壌の水分環境や火山灰の堆積環境の違いから、以下の4つの土壌亜群に分けられる。

(1)湿性未熟黒ボク土(D1a3):

湿潤な未熟黒ボク土。土壌表面から50cm以内に、「地下水湿性特徴」を示す層または「地下水グライ層」の上端が現れる未熟黒ボク土。

(2)腐植質未熟黒ボク土(D1h3):

表層に有機物を多く含む「腐植質表層」または「多腐植質表層」をもつ未熟黒ボク土 。

(3)埋没腐植質未熟黒ボク土(D1h4):

過去に表層であった層で、かつ、有機物が蓄積した「埋没腐植層」の上端が土壌表面から50cm以内に現れる未熟黒ボク土。

(4)普通未熟黒ボク土(D1Z1):

その他の未熟黒ボク土。