灰色低地土

中間的な湿性状態の沖積地の土壌。日本の水田の代表的な土壌。季節的地下水の飽和により発達した地下水湿性特徴を示す斑鉄層が地表下50cm以内に現れる。

細粒質普通灰色低地土の土壌断面写真(左)と調査地の風景写真(右) 茨城県つくばみらい市

地下水による斑鉄層は、孔隙や亀裂に沿う管状・膜状などの斑鉄の存在で特徴づけられ、この点が孔隙に沿って灰色化を起こしている灌漑水による水田灰色化層と異なる。海岸・河岸平野、谷底平野、扇状地などに広く分布し、地形はほぼ平坦である。

図 灰色低地土の分布状況

灰色低地土の分布する面積は国土の5%程度であり、農耕地では主に水田として広く利用されている。わが国の水田の約20%は灰色低地土が分布している。

灰色低地土群の分類

灰色低地土は土壌の水分環境や火山灰の堆積環境の違いから、以下の7つの土壌亜群に分けられる。

(1)硫酸酸性質灰色低地土(F3j7):

硫化物を含む湖沼成・海成堆積物から成り、強い酸性を示す灰色低地土。

(2)泥炭質灰色低地土(F3e6):

表層100cm以内に積算して25cm以上の「泥炭物質」からなる層がある灰色低地土。

(3)腐植質灰色低地土(F3h3):

表層に有機物を多く含む「腐植質表層」または「多腐植質表層」をもつ 灰色低地土。

(4)表層グライ化灰色低地土(F3a5):

水稲耕作下で灌漑水によって生成し、落水後も維持され作土から下方へ発達しているグライ層をもつ灰色低地土。

(5)グライ化灰色低地土(F3a7):

土壌表面から50-75cmに地下水によって生成するグライ層の上端が現れる灰色低地土。

(6)下層黒ボク灰色低地土(F3d3):

土壌表面から100cm以内に積算して厚さ25cm以上の「黒ボク特徴」を示す層をもつ灰色低地土。

(7)普通灰色低地土(F3z1):

その他の灰色低地土。